●間質性肺疾患とはなにか、どう対応すればいいか ~このサイトがお手伝いできること~
 呼吸器の病気の中には、気道(気管、気管支、細気管支)、縦隔(気管周囲)、胸膜、肺胞領域など、種々の解剖学的領域が含まれています。これらの正常構造に、炎症、悪性変化、変性などの病理学的変化が起こってくると、それぞれ特徴的な病気がおこります。間質性肺疾患とは、病変の主な部位が肺胞、細気管支の間質に認められます。喘息や普通の細菌性肺炎などに比べると、決して多い病気ではありません。だから、この病気であるといわれると、わからないための不安、医師にとっても経験が少ないので、十分な指導ができないでいるもどかしさのようなものがあるのが現実でしょう。

 間質性肺疾患は、間質性肺炎群と、肉芽腫性病変形成を特徴とするサルコイドーシス、過敏性肺臓炎などの肉芽腫形成性疾患群、血管炎症候群、頻度の少ない特殊な疾患として、慢性喫煙者に見られるランゲルハンス氏細胞肉芽腫症、妊娠可能年齢の女性に見られるリンパ脈管筋腫症、肺胞蛋白症など、200例以上もの疾患群からなります。
 間質性肺疾患には、急性発症、亜急性発症から慢性経過で発症してくるものまで幅があり、診断には、間質性肺疾患に対する一定の基本知識はもちろんですが、発症様式および経過、病勢、合併症の状況、全身性疾患の有無など、総合的な評価をしながら、妥当な判断をしていくことが必要です。
 間質性肺疾患の診断には、肺の一部を採ってきて、病理学的診断することも必要になることがあります。しかし、詳しい診察とCT検査、肺機能検査、血液検査などによりかなり正確に診断ができることも多いのです。侵襲的な肺生検をする場合には、その結果が、患者さんにとって治療方針や経過に よりよい結果をあたえられるかどうか、その検査による不利益がないかなどをきちんと考えておくことが必要です。臨床画像的な判断にもとづいての治療管理も十分可能となってきているのが現状です。

 このサイトでは、主な病気である間質性肺炎、サルコイドーシス、膠原病にともなっておこる呼吸器の問題、タバコに関連した間質性肺疾患などを中心に、診断、治療、経過観察 など全般についての、わかりやすい情報発信を心がけたいと思います。
 病名がつくだけで、不安になったり、悲観したりするのは早計です。病気とともに、健康な気持ちで生活をしていくためには、「病名」、「病気の勢い」、「病気の経過を知ること」、「治療の必要性と時期、治療方法など」を、「病気をもつ人の年齢、性、喫煙状況、職業状況、生活状況、合併症、気質、支援状況など」も含めて、実際的に判断して、一歩一歩確かな歩き方をするということが、大切です。

●間質性肺炎・肺線維症
 肺は、大気中の酸素を血液中にとりいれ、体内で産生された炭酸ガスを血液から放出するというガス交換の働きをする重要な臓器で生命活動の維持に重要です。口や鼻腔から咽頭、喉頭、声帯、気管、気管支と続き、気管支が20数回枝分かれして最後は肺胞というガス交換を行う場所になります。左右数億個からなる肺胞は、空気と接する側にある一層の肺胞上皮細胞から産生されるサーファクタントにより、容積を大きく保持してガス交換の効率をよくしています。肺胞上皮細胞の下には、基底膜があり、その下にある肺胞間質では、毛細血管、結合組織が豊富で、この場所におこる肺炎を間質性肺炎といいます。細菌性肺炎とは異なる病気で、抗生物質はききません。

 間質性肺炎の原因はいろいろあり、薬剤、化学物質、石綿、ある種の微生物(ウイルスなど)、膠原病性、放射線照射などがあげられます。これらのどれにもあてはまらない間質性肺炎を、原因不明(特発性)間質性肺炎と診断します。
 急性、亜急性の間質性肺炎は、発熱、息切れ、咳が比較的短期間に自覚され、ステロイド薬に効果を示すものから、効果がなくて死亡率の高いものまであります。
 慢性型の間質性肺炎は、ゆっくりと、動いたときの息切れ、痰を伴わない咳が自覚されてきます。慢性型は、年余にわたり安定な時期もありますので、治療方針の決定には、間質性肺炎の型、年齢、初診時の病勢、喫煙の有無、膠原病の有無、合併してくる肺高血圧の有無、他の糖尿病、高血圧などの合併症の有無などを総合的に判断して決定します。健康診断で胸部写真上の軽度の異常陰影を指摘され、自覚症状も少ない時期から、強い薬で治療することは賛成できません。間質性肺炎によっては、日常生活の守りを中心に経過をみた方が生存成績がよい場合があります。特に、65歳以上の場合には、対症療法(風邪の早期対応、少量のステロイド薬、在宅酸素療法など)で、うまく治療していくと生活の質(QOL:quolity of life)が保たれます。60歳以下の進行した間質性肺炎では肺移植という可能性もあります。薬物治療が必要な場合には、長期におよぶ場合が多いので、経過での副作用、合併症(気胸、肺高血圧、肺がん、肺炎など)を鑑別するには、経過を丁寧にみていく必要があります。

 中央診療所では、間質性肺炎などの病名、病型の鑑別診断、病勢の評価、合併症の有無の評価のために、検査と診察を行う専門外来を設けています。胸部写真、CT検査、肺機能検査、呼吸筋力検査、動脈血ガス測定、心電図、心臓超音波検査、骨密度、腹部超音波検査などを半日で評価して、鑑別診断と、治療方針の評価を行っています。年齢、性別、禁煙指導、合併症の評価(循環器、糖尿病、高血圧、感染症、肝臓 病、神経内科、免疫膠原病内科などの専門外来あり)を行い、病気があっても入院せず、日常生活の中で、治療を行うことを目標にした専門外来をめざしています。間質性肺炎という、ききなれない病気、あるいは、治療や経過に不安をいだいている患者さんへの説明指導を徹底し、有効な新薬も積極的に導入して治療をしております。


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