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当所の専門外来で用いられる特殊薬剤、理学療法と呼吸管理ケアについて説明いたします。

■ステロイド薬  ステロイドは、もともと体内の腎臓の上にある小さな副腎(左右1個づつある)から分泌されるホルモンで、生命活動には、必須のホルモンです。
 内服ステロイド薬の重要な作用は抗炎症作用と免疫抑制作用です。一定の期間飲み続けて、その後ゆっくりと減量するという飲み方のため、長い間服用することになるので、治療効果のみならず、副作用(糖尿病・高血圧・高コレステロール血症・骨粗鬆症・胃潰瘍他)をしっかり評価しなくてはいけません。
 吸入ステロイド薬の重要な作用は抗炎症作用です。内服とは異なり、気管支や肺の局所作用を期待し直接その部位に薬を届ける方法です。また吸入は内服に比べ副作用の報告が少ないのも特徴です。

●ステロイド薬服用で大切なこと
1.ステロイド薬は病気を完治する力もありますが、主には、病気を落ち着かせる薬です。
2.ステロイド薬の使用量は標準的には一定ですが、個人の状態(病気やその程度、合併する病気の有無、年齢な
 ど)によって、投与量が変わる場合があります。
3.ステロイド薬治療中の減量は慎重に行わないと再発、状態の悪化の原因になります。飲み忘れや、自己判断で
 の休薬は絶対にしないように。

■免疫抑制剤  免疫抑制剤は体内で病気のため過剰あるいは異常に起こっている免疫反応を抑えてくれる作用があります。これにより、ステロイド薬の作用を助けることになります。結果的にステロイドの必要量を減らし、ステロイド薬の副作用を軽くすることが期待できます。
 免疫抑制剤は成分を体の中にたくわえることにより、効果が出てきます。そのために、一定期間のみ続けてもらい、治療に適した量を決めていかなければなりません。治療効果のみならず、副作用(発熱・むくみ・高血圧・糖尿病・呼吸器症状他)をしっかり評価しなくてはいけません。


■肺血管拡張・
 収縮抑制剤
 肺血管拡張・収縮抑制剤は肺疾患の方に併発する肺高血圧に対する治療薬となります。特に特徴的な2剤について説明いたします。

●血管収縮抑制剤(マシテンタン)
 血管収縮抑制剤は肺の動脈を収縮させるエンドセリンという物質の働きを抑えます。それにより、肺動脈の血圧を低下させ、同時に肺動脈を流れる血液の量を増やします。それは心臓への負担を減らすことにもなります。
 この作用により肺高血圧の症状である、運動時の息切れ、めまい、咳、疲労感、胸痛などを改善していきます。副作用としては、頭痛、倦怠感、筋痛及び肝機能障害、むくみなどが主なものとなっております。

●肺血管拡張剤(タダラフィルなど)
 タダラフィルは長時間型のホスホジエステラーゼ5阻害剤(英語版)であり、日本での適応は、勃起不全 (ED) 、肺動脈性肺高血圧症、前立腺肥大の排尿障害となっています。商品名はシアリス、アドシルカ、ザルティア。
 先行する同効薬シルデナフィル(バイアグラ)など、他のED治療薬と異なり、翌日にも作用が持ち越す長時間型であり、食事の有無にかかわらず作用する点が異なります。


■吸入薬  吸入薬は気管支に直接薬をおくることができるので、副作用が少なく高い効果が得られる薬で、エアゾールタイプとドライパウダータイプとがあります。
 エアゾールタイプは薬剤を噴霧させて吸入するタイプです。このタイプは吸入補助器具を使用すると効率よく、副作用も少なく使用できます。
 ドライパウダータイプは薬剤をドライパウダーにして直接吸入する方法です。吸入方法をしっかりと覚えてもらえば難しい薬ではありません。
 薬剤により使用方法が違うため、当所では医師と連携して薬剤師・看護師が患者さんにあった吸入薬・吸入方法を見つけ、効率よく続けて治療できるように指導しております。

●サルタノールインヘラー(サルブタモール硫酸塩吸入剤)
・グラクソ・スミスクライン株式会社の説明ページ
 http://kusurigsk.jp/pc/sul/howto/index.html

●エリプタ(ビランテロールトリフェニル酢酸塩・フルチカゾンフランカルボン酸エステル吸入剤)
・グラクソ・スミスクライン株式会社の説明ページ
 https://gskpro.com/ja-jp/products-info/ellipta/instruction/

●パルミコート(ブデソニド吸入剤)
・アストラゼネカ株式会社の説明ページ
 http://www2.astrazeneca.co.jp/yourhealth/pulmicort/pul01/

●シムビコート(ブデソニド・ホルモテロールフマル酸塩水和物吸入剤)
・アストラゼネカ株式会社の説明ページ
 http://med.astrazeneca.co.jp/patient/material/sym_howto.html


■生物学的製剤  生物学的製剤は最先端のバイオテクノロジー技術によって生み出された医薬品で、関節リウマチに対しては2003年から国内での使用が開始されています。 これまでの抗リウマチ薬に比べて薬剤費が高価ですが、有効性にかなりの期待ができる薬剤で、特に関節破壊抑制効果に優れていることが知られています。


■理学療法と
 在宅酸素療法
 のケア
●呼吸法の指導
 慢性肺疾患の患者さんは、健康な人と比べて肺の働きが低下しています。そこで低下した肺の働きを最大限に活用する為に、正しい呼吸方法を身につけて効率よく呼吸することが必要です。
*息を吐く時は口すぼめ呼吸:口をすぼめてゆっくり吐き出す呼吸のやり方です。息を吐き出す時に口をすぼめる事で気道を広げ空気を通りやすくする呼吸法です。
*息を吸う時は腹式呼吸:肩や首の筋力で呼吸するのではなく、おなかの筋肉(横隔膜)を使って肺に空気を取り込む呼吸法です。おなかを膨らませながら鼻からおなかの中に空気を取り込むイメージで行ってください。

 

●呼吸練習用器具を用いた呼吸訓練

 息を吸う時、又は吐き出す時に抵抗が加わる様に、つくられた器具を使用して呼吸に使う筋肉を訓練します。呼吸筋力の強化は換気量を増加させ、気道の閉塞や呼吸不全を改善します。
 

●ネブライザー
 ネブライザーを使用した排痰、水分補給の治療も行っています。
 

●在宅酸素療法のケア
 Home(家庭)Oxygen(酸素)Therapy(療法)、略してHOT(ホット)とよばれています。慢性呼吸不全の方、および慢性心不全の方が、酸素を吸いながらご自宅で生活できる治療方法です。以前は、酸素を吸うために長い間入院生活を送らねばなりませんでしたが、現在では機器、システムの発達により、ご自宅で家族と生活を共にしながらの治療が可能です。日本では1985年より在宅酸素療法が保険適応となりました。当所でも約65名(平成29年)の方が在宅酸素療法を実施されています。在宅酸素療法を実施されている患者さんが安心して、快適にご自宅で過ごせるようケアしています。


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